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ミニチュア・ガーデン

第1章 無

「ラーク、お前は今日も綺麗だな」
 滑らかな肌と、くすぐったそうな表情を堪能しながら、ガルクは彼の細い首に手を這わせ、引き寄せる。全く抵抗なく彼は腕の中に入り、形の良い薄い唇に自らの唇を重ねれば、ぬらりと湿って温かい舌の感触が入り込み、負けじと舌を絡ませる。
「んっ」
 彼の甘みを帯びた吐息に誘われ、しなやかな筋肉に包まれた細い背中に手を回し、まさぐる。性感帯はそこにないのだが、次第に激しさを増すキスに触発され、漏れ出す息に熱が籠る。
 細い腰に伸びた手が臀部に到達しようとした時、彼は小さく笑って唇を離した。
「お腹空いたよ。何か作って」
 そう言ったと思うと、まだ彼を堪能したがっている唇に軽くキスをし、立ち上がってガルクが起きる様を見下ろす。
 仕方なく起き上がると、彼は満足そうに笑みを浮かべてリビングへ行ってしまった。抱き締めてもう一度口付けを交わそうと考えていたのだが、彼にその気がないのなら仕方ない。
 気を取り直して寝巻きを脱ぎ出す頃には、リビングからテレビの音声が聞こえ、ラークの日課である天気予報が流れた。

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