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ミニチュア・ガーデン

第3章 空洞の城

 汚れた体を洗い、ジャグジー付きの湯船に浸かる。馴染みはしているが、ガルクの体格でも十分過ぎる程に大きく、満たされない心のせいもあるのか、自然とため息を吐く。
 その時は気持ち良さや満足感を得られるのだが、相手がラークでない現実が、所詮自慰だと言う思いから、それまで以上の虚しさが湧き上がる。
「やっぱり、虚しいな……」
 ガルクは呟き、バスルームから出て、寝室に戻る。女はまだベッドの上に居て、ガルクを見て怯えた表情になる。
「さっさと体を洗って出ていけ」
 女を一瞥し、ガルクは冷たく突き放す。最早、言葉を交わすのも億劫だ。散々泣いた後に怯えた表情になったため、綺麗な顔はぐしゃぐしゃになり醜いの一言に尽きる。女は小さく悲鳴を上げ、泣きながらバスルームに飛び込んで行く。
 ガルクは再びため息を吐く、胸を支配する物が悲しみなのか虚しさなのか解らない。ただ、重苦しい物が詰め込まれているだけだ。
 化粧もせず、女が部屋から出て行く気配を感じつつ、ガルクはベッドに横になる。女の臭気の混じったベッドはただ広く、自分の居場所ではないと思える。
 やはり、ラークのそばが自分の居場所なのだ。彼が居て、初めて自分が居る。彼の温もりのない世界は全てが遠くに感じる。

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