ミニチュア・ガーデン
第3章 空洞の城
楽しそうに笑う俳優の映るテレビを消し、軽くシャワーを浴びる。温かい湯を浴びても、気持ちが晴れる事は無く、モヤモヤとした物が胸を支配し、叫びたい衝動に駆られるが、唇を噛み締めて堪える。
水気を拭き取るのも面倒で、そのままバスローブだけを纏った。顔を伝う水滴も、長めの髪から落ちる雫も、何も気にならない。
ふと、鏡が目に入り、髪を掻き上げる。そこで、何故自分が髪を長めにしたのかを思い出した。
『お前って、少し目を隠した方が人相良いな』
そう、ラークが言ったのだ。
二メートル近い身長に筋肉隆々の体格であると、いくら穏やかに接する様に努力しても、怖いと言う印象が薄れず、どうしようかと思っていた時に、まるでそれを察する様に彼が言ったのだ。それから、髪は長めにして少しだけ目を隠す様にすると、まずは大きさに驚かれる物の、怖いと言う印象は持たれなくなった。
彼の何気ない一言を思い出して痛み出した胸に、自分の顔すら拒否する様にガルクはサッと鏡の前から逃げた。濡れたままベッドに横になり、眠ろうとする様に目を閉じる。が、訪れるはずの一時の安息も訪れず、腕の中に彼がいない事実がただただ苦しかった。
「なんで……」
苦しみに伴い、訪れるのは答えのない疑問。
何故彼は自ら死を選んだのか。
遺書にはただ、生きるのが辛い、としか書いていなかった。それが何故なのか、何が原因なのか、ガルクには全く解らなかった。もし、打ち明けてくれたなら、一緒に悩む事も、一緒に死ぬ事も出来たのに、彼はそれをせずに一人で死んでしまった。
水気を拭き取るのも面倒で、そのままバスローブだけを纏った。顔を伝う水滴も、長めの髪から落ちる雫も、何も気にならない。
ふと、鏡が目に入り、髪を掻き上げる。そこで、何故自分が髪を長めにしたのかを思い出した。
『お前って、少し目を隠した方が人相良いな』
そう、ラークが言ったのだ。
二メートル近い身長に筋肉隆々の体格であると、いくら穏やかに接する様に努力しても、怖いと言う印象が薄れず、どうしようかと思っていた時に、まるでそれを察する様に彼が言ったのだ。それから、髪は長めにして少しだけ目を隠す様にすると、まずは大きさに驚かれる物の、怖いと言う印象は持たれなくなった。
彼の何気ない一言を思い出して痛み出した胸に、自分の顔すら拒否する様にガルクはサッと鏡の前から逃げた。濡れたままベッドに横になり、眠ろうとする様に目を閉じる。が、訪れるはずの一時の安息も訪れず、腕の中に彼がいない事実がただただ苦しかった。
「なんで……」
苦しみに伴い、訪れるのは答えのない疑問。
何故彼は自ら死を選んだのか。
遺書にはただ、生きるのが辛い、としか書いていなかった。それが何故なのか、何が原因なのか、ガルクには全く解らなかった。もし、打ち明けてくれたなら、一緒に悩む事も、一緒に死ぬ事も出来たのに、彼はそれをせずに一人で死んでしまった。