ミニチュア・ガーデン
第3章 空洞の城
ツッと目から伝う涙に気づき、慌てて拭う。
彼と出会い、共に過ごした時間は無上の幸せに包まれていた。だが、彼を知らなければ、こんなにも永い時間苦しむ事はなかった。きっと、多くの女性達と体を重ねて、それで満足していただろう。その中の一人と家庭を持ち、子供が産まれ、王として夫として父親として、一人の男として過ごして、人生を閉じただろう。それはそれできっと幸せな事だ。なにせ、今のガルクには、それすら許されないのだから。
それでも、彼を忘れられない。彼を憎めない。彼を愛する事を止められない。
一時、彼を忘れる事は出来ても、呼吸をするように、瞬きをするように、すぐに彼を思い出してしまう。
こんな世界、創っても無駄だった。と、ガルクは手に力を込める。もう壊してしまって、また彼に似た有機物ロボットで慰めようと思うのだ。そうでもしないと、胸が苦しくて、呼吸すらままならない。
「王様……」
ガルクの耳に届いたのは、不安げな女性の声。廊下から呼びかけていて、恐る恐るノックする音も聞こえる。
「王様、居られませんか?」
世界を壊そうと思っていたガルクには、その声はまるでこの世界が発しているように感じた。まだ、壊さないで、と言っているように感じた。
彼と出会い、共に過ごした時間は無上の幸せに包まれていた。だが、彼を知らなければ、こんなにも永い時間苦しむ事はなかった。きっと、多くの女性達と体を重ねて、それで満足していただろう。その中の一人と家庭を持ち、子供が産まれ、王として夫として父親として、一人の男として過ごして、人生を閉じただろう。それはそれできっと幸せな事だ。なにせ、今のガルクには、それすら許されないのだから。
それでも、彼を忘れられない。彼を憎めない。彼を愛する事を止められない。
一時、彼を忘れる事は出来ても、呼吸をするように、瞬きをするように、すぐに彼を思い出してしまう。
こんな世界、創っても無駄だった。と、ガルクは手に力を込める。もう壊してしまって、また彼に似た有機物ロボットで慰めようと思うのだ。そうでもしないと、胸が苦しくて、呼吸すらままならない。
「王様……」
ガルクの耳に届いたのは、不安げな女性の声。廊下から呼びかけていて、恐る恐るノックする音も聞こえる。
「王様、居られませんか?」
世界を壊そうと思っていたガルクには、その声はまるでこの世界が発しているように感じた。まだ、壊さないで、と言っているように感じた。