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ミニチュア・ガーデン

第1章 無

 外見の完璧さに対し、マーガリンの塗り方は雑だ。片面に、付けたと見せる為にしかついていないのに、そのまま大口を開けて大胆にかじりつく。それでも、ガルクが嫌がるので、マーガリンナイフに付いたパン屑はパンの端で綺麗に取り、容器の上にちゃんと置かれている。
 ガルクはアップルジャムを丁寧にトーストに塗り、口に運ぶ。
 ラークは交通事故のニュースが気になるのか、チラチラとテレビを見ながらテーブルの隅に置かれた幾つかの調味料入れを見て、醤油を取り出し、目玉焼きにかける。レタスに醤油は合うのだろうか、とガルクが思っていると、彼はハタと気づいたらしく、小さく声を上げた。
「先に食べれば良かった」
 そうは言うものの、次の瞬間には箸で器用にレタスだけを取ってバリバリと食べた。
 その一連の行動もなんとも彼らしく、ガルクには新鮮味こそないものの、見ていて飽きないものであった。

 いつもと同じ朝食の後は、ラークの後片付けが始まる。食事の準備はガルクで、片づけがラークと言うのは、暗黙の内に決まったルールである。

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