真夏の夜の夢
第4章 第三夜
目に飛び込んできたのは
真っ赤な朝日ではなく
漆黒の闇夜であった。
「お前さん、ずっと閉じ籠っているものだから
どうやら時間の流れがわからなくなったのね…
ちょいと妖力を使ってお前さんに
朝の幻を見せてやったのさ
お陰でこうして再びお前さんに
会うことが出来たわ」
闇の中から髑髏(どくろ)のような磯良が現れて
恐れおののく正太郎の前にひざまづくと
ふんどしをめくって
正太郎のチ○ポを引っ張り出した。
「ああ口惜しい‥
他の女と散々おま○こした臭いがする!
でも、もう使わないから
こんなデカイものは必要ないわよね」
そう言うとしゃれこうべは
カタカタと歯を鳴らして
あっという間に正太郎のち○ぽを噛み切った。
四日目の朝が来たので、
正太郎という男の安否を訪ねて
御札を施した菩提寺の住職が
正太郎の家に行ってみると
庭先で股間から血を吹き出して
血だまりの中で息絶えている正太郎を発見した。
「なんと無惨な…
言い付けを破って怨霊を招き入れたか…」
可愛そうだと思った住職は
お袖の隣に正太郎を
葬り懇ろ(ねんごろ)に弔ってやったとさ…
いかがでごじいましたか?
女というものはいつの世も怖い存在でございますわね…
えっ?私?私も怖い女なのだろうって?
作家先生様、いやでございますわ
お話が全て終わりましたら
私がどれ程いい女か
たっぷりと教えてあげますわ
女将は作家の顔を見つめて
妖しく舌なめずりすると
またまた蝋燭を一本、フッと吹き消した。