真夏の夜の夢
第2章 第一夜
梅雨が明けたとたんに
眩(まぶ)しい日差しが容赦(ようしゃ)なく照りつけた。
俺は梅雨の長雨ですっかり汚れてしまった愛車を
綺麗に洗車した。
「お兄ちゃん、車、ピカピカだね~」
必死にワックスがけしていると、
ふいに背後から声がした。
声をかけてきたのは
近所の3歳年下の幼なじみの真由美だった。
彼女はまだ幼さの残る短大生だ。
梅雨明け早々に夏を先取りとばかりに
チューブトップにミニスカートといった服装で
若い肌を惜しげもなく露出させていた。
愛車もきれいになったことだし
ドライブにでも行くか?と誘うと
ちょうど暇してたのよ~と、
二つ返事で喜んで助手席に乗り込んできた。
二人っきりの狭い空間で同じ時間を共有していると
不思議と幼なじみという垣根を乗り越えて、
男と女という意識が芽生えてきた。
夕暮に差し掛かるころ、
俺は愛車を山道を走らせてダム湖を目指していた。
ダム湖の湖畔に着いた頃にはすっかり日が落ちて
車のライトを消すと真っ暗闇が視界に飛び込んできた。
エアコンをつけるためにエンジンは切らずにそのままにした。
静寂の中、エンジン音だけが二人を包み込む。
「こうしていると恋人同志みたいだね~」
静けさの空気にいたたまれなくなった真由美が
わざと明るい口調で言った。
しかし、これから起きるかもしれない行為に、
その声は少し震えていた。
俺は、ついに我慢できずに
助手席に身を乗り出して真由美の唇を奪った。
「ちょ、ちょっと・・・やだぁ~~」
言葉では拒んでいたが
俺を押し返そうとした手に力が入っていなかった。
手をのばして助手席のリクライニングレバーを引くと
シートはフラットの状態になり、
真由美の体も自然とシートに横たわった。