DOLL(愛しきラブドール)
第5章 逃避行
「今まで西嶋くんのことを
変態呼ばわりしてごめんなさいね
彼女と愛しあって
はっきりと彼女が生きていると実感したわ」
季実子さんがそう言うと
「恐縮です」と彼女はペコリとお辞儀した。
「生きていると理解してくれたのはいいけど
貴美子、君は俺と二人っきりの時しか話さないし
動かないんじゃなかったのかい?」
そう人形の貴美子に尋ねると
「だって、季実子さんは私に
メイクもしてくれたし
綺麗な洋服まで着せてくれたのよ
この人なら私は全てをさらけ出せると思ったの」
ありがとうと囁きながら
季実子さんは人形の貴美子の隣に腰かけて
優しく肩を抱いた。
その光景に俺はちょっと嫉妬してしまった。
「というわけで…
今夜は私と貴美ちゃんが二人がかりで
西嶋くんを可愛がってあげるわね」
そう言って二人は見つめあって
ウフフと笑いあった。
えっ?、じゃあ今夜は貴美子だけでなく、
季実子さんにもその…つまり…
セックスをしちゃってもいいってこと?
俺は二人から愛撫を受けているシーンを想像して
思いっきり勃起した。
「まずはお風呂に入って
今日の疲れを癒してくださいな」
そう季実子さんに促されて
夕飯もさっさと済ませて
俺は浴室に入った。