DOLL(愛しきラブドール)
第7章 忍び寄る影
店を出てからも俺たちは
イチャイチャしながら歩いた。
適度なアルコールにほろ酔いし、
スケベ度もアップしてしまっていた。
交差点で信号待ちする間も
俺たちは体を寄せ合い
かなり濃厚なキスを繰り返した。
「貴美ちゃんも
連れてきてあげればよかったわね」
部屋に留守番をさせているドールの貴美子を
季実子さんは不憫に思ってくれた。
そんな会話やいちゃつく二人を
あの男は電柱の影から見聞きしていた。
あの男とは…
そう、あのレイプ紛いの事件から
俺たちが疎遠を選んで遠ざけた先輩だった。
『おいおい、なんだい!
結局はあの二人はデキてしまったのかよ!
なんだかんだと俺だけが除け者かよ!!』
話の内容だと、
どうやらあの人形も
捨てていないことが推測できた。
先輩はムカついていた。
あの人形をこっそり持ち帰ってあげたのも、
事務の季実子も最初に唾をつけたのも
全部自分だというのに…
先輩は尾行して、
ついには二人と一体が暮らす部屋まで
嗅ぎ付けてしまった。