マッチ売りの少女と死神さん
第6章 1月3日…あと刹那のその時まで
喉をキンと突き刺されるような空気だと思った。
薄っすらと眠りから覚め、どうやら呼吸のたびに気管が冷えるらしい。
ホーリーはそれに対し嫌な思いはしなく、それよりも彼のベッドの隣が空っぽでまだ温かかいのに気付いた。
彼は昨晩、ここでの行為が済んだ途端に力尽きたように寝入ったサラを思い出した。
「……彼女の寝顔見てると…どうも、つられて寝ちゃうんだよねえ」
自分の吐く息が白い。
ホーリーはゆっくり起き上がり、『寝起き』という慣れない感覚にぼおっとしていると、小さな高い声が耳に届く。
「……ーりー…さん」
彼女の声はどうやら壁、というか直接外から聴こえてくるようだ。
「…ホーリーさーん」
(バスルームの方向かな)
ベッドから降りて冷たい床に足を着け、声を辿っていくとやはりバスルームの窓が開けっぱなしになっているようだった。
部屋に面した出窓は大通りに面しているが、この小窓は東側にあるらしい。
彼がそこから顔を覗かせ、すると黄金色に似た光の塊が一斉に目に飛び込んできた。
「ホーリーさん!!!」