マッチ売りの少女と死神さん
第6章 1月3日…あと刹那のその時まで
その中央で自分を見あげ、両手を大きく広げて上げているサラがいる。
眼下には晩に降り積もったであろう新雪があった。
視界一面に広がる光景に、遠近感さえ奪われそうになる。
すさまじい光の束が雪野原に照り付け、または同じ強さで照り返していた。
(さて、光も燃えるんだっけ?)
ホーリーは一瞬そんなことを考えてしまった。
白い縁取りのフードを被った、ホーリーが贈ったコート姿のサラ。
彼女が二階にいるホーリーに向かい、この雪を見てと言わんばかりに自分の背後を指し示す。
「寒くないですよ!!」
「へえ……」
「足にも雪が入りません!!」
「……ふうん?」
彼女が何を言いたいか分からないままにサラが雪原を走り回ろうとする。
そして重心が崩れかけたと思うと………「ふぐっ!」と顔から勢いよく雪に突っ込んで転んだ。
「でっ、でも大丈夫なんです!!」
すぐに起き上がりまた新雪に足跡を着けては、はしゃいでいる様子だ。
よく分からないがサラは何やら楽しいらしいのだと、ホーリーは思った。
しまいにホーリーの真下をクルクル回り出し、フードが外れた拍子にサラの髪がなびく。
「………?」
ホーリーは二度、三度、自分の目を手の甲で擦った。
彼女を囲んだ周りが光を集めたように輝いていてみえたからだ。
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