マッチ売りの少女と死神さん
第8章 1月3日…お別れの調ベ 前編
街なかは今朝と変わらず賑やかしい。
もう何刻かすると夕方が近付く時間帯だとサラは思った。
北国の短い昼の長さに加え、ニューハウンから宿に着いてから、急に曇ったせいだ。
暗く沈んだ冷たい風が余計に足取りを重くする。
サラは足跡で汚れた地面の雪を辿り、あてもなく歩いていた。
『ここから出て行ってくれる?』
彼の冷ややかな声を思い出す。
なぜこうなってしまったんだろう。
一体何がホーリーの気に障ったのだろうか。 なにしろ、サラにとっては年末から驚きの連続で────先ほど宿で、ことさらに驚いたことは。
(ええと………)
と、サラが順番に記憶を辿ってみた。