マッチ売りの少女と死神さん
第10章 1月4日…死神さんに恋をしました
『目を覚ましなよお。 フフッ、天使より神と近しい冥土の王ってか』
ガチャガチャと煩い音だった。
────冥界に新しい死神の器が生まれた。
未だ妖魔の雰囲気を身にまとった冥王は、話しかけてくる生き物を本能で捕まえ、喰らおうとした。
「ちょ、待っ、待って、待ってよお!!!」
「………?」
冥王はわめき声をあげる自分の手元の生き物を見た。
「もう……僕は餌じゃないよお。 先代は400年を生きて、こないだ身罷られたんだよねえ。 僕は冥王がここで役割を果たすために来た、神のお使いってとこかなあ」
まるで影のように形を成さなく、キーキーと鳴くだけの妖魔と『これ』は何かが違う。
「お初にお目にかかれて光栄とでもいえばいいかな? 僕のことはカリヌって呼んでねえ」
言いようのない違和感に恐怖を感じた冥王はケラケラ笑うカリヌを手放した。
それに加え、単純にカリヌはクソ不味そうだと冥王は感じたのだ。
カリヌは二本の足で立ち、冥王より小さかった。
しかし異様に大きな頭と見たことの無い光る体の色をしていた。
頭の表面には透けるような二つの丸いものが乗っていて、その下にある穴と共に、くるくると忙しなく動く。
穴が動くと音が出る造りらしい。
「あ、まだ死神とは呼ばないから。 格をあげるなら何だって修行がいるでしょお? まだアンタは偶然の産物で出来た冥王ね冥王。 違い分かる? ……クフフフ」