
マッチ売りの少女と死神さん
第10章 1月4日…死神さんに恋をしました
冥王はカリヌと行動を共にした。
「アンタはまだ生まれたての赤ン坊なんだからねえ。 さっさと自覚持ってね」
カリヌの言う意味は分からなかったが、彼といると食事に困らなかったからだ。
「あ、あと、心身が成熟しないうちは妖魔を食べるのは禁止ね禁止。 神の眷族となるにはさ、あれは毒だから」
彼が手渡してくれる光る玉は小さいが美味しかった。
トロリとして甘く、身の内から力が湧いてくるようだった。
「ここが死神の仕事場ってやつ。 真ん中にある大っきな宝玉、あれは天地人の叡智の源っていえばいいかな。 とりあえずここで勉強するといいよお」
新米の冥王はその部屋が嫌いだと思った。
光る白い玉はカリヌや、彼がくれる食物と同じ色をしていたが、閉塞感のある、室内の真っ黒な岩肌には不気味な赤い模様がびっしりと描かれていて、妙な臭いがした。
死神は隙を見て、ある場所へ通った。
広大な洞窟のような造りの冥界にポツポツ存在する、様々な色が混ざる所。
岩間の土から生えているのはカリヌいわく草というらしい。
妖魔の頃、自分はここが怖かったはずだと死神は記憶していたが、今はとても居心地が良かった。
