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マッチ売りの少女と死神さん

第10章 1月4日…死神さんに恋をしました



言葉を話せるようになった死神は、人の姿を好んで真似ることにした。
ただ、何もかもサラと同じになりたかったのに、自分は女性体にはなれないようだった。

ために溜め込んだ膨大な知識は、すんなり形として彼の脳内に収まっている。

時おり、何かに憑かれたように自分を傷付けることは彼の習慣になっていた。



死神は久しぶりに仕事場の外に出、枯れかけたオアシスに目に留めた。

土の脇に、小さな人らしきものの骨があるのに気付く。

「なぜ冥界に死骸があるのかなあ? それにしても……フン、こんな所に目障りなものを」

腕を降ってそれらを一掃した死神は、餌となる妖魔を探しに歩き始めた。

「あああ、早くサラちゃんに会いたいなあ。 ずっとずっと君を眺めていられるように。 僕だけが、君に永遠の苦痛を与えてあげるんだから……」

……グフフフという不気味な笑い声が闇の奥へと溶けていく。



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