
マッチ売りの少女と死神さん
第10章 1月4日…死神さんに恋をしました
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目覚めて、サラはしばらくベッドの上で身じろぎもせずにいた。
「────……」
ここはどこだろう? から始まって、夢の内容を思い出し、少しばかり混乱した。
(クラースさんのお家ね。 でも、カリヌ様なんて方は、私知らないわ)
サラがホーリーから聞いたのは、あくまで彼が死神として一人で住んでいた冥界での話だった。
……ただの空想とも思えず、心が温まるが儚くも悲しい内容だった。
ひと言で言い表せない気持ちだったが、何となくサラが腑に落ちる所もある。
生まれた時から一人きりでいたにしては、ホーリーとは人の感情や心の動きに敏感過ぎる。
カリヌのことを忘れていても、彼の存在は確実にホーリーの一部を作っているようにサラには思えた。
二人は話し方も似ている。
誰が何のためにあんな夢をみせたれたのかは分からない。
『だから彼は大丈夫なんだよ』 とでも神様が彼女に教えてくれようとしたのだろうか。
それが真実にしろそうでないにしろ。
元々サラの中に強くある自己犠牲の精神────それを体現したカリヌの生涯は、彼女の心理に少なからず影響を与えることとなる。
