テキストサイズ

マッチ売りの少女と死神さん

第10章 1月4日…死神さんに恋をしました


****

目覚めて、サラはしばらくベッドの上で身じろぎもせずにいた。


「────……」


ここはどこだろう? から始まって、夢の内容を思い出し、少しばかり混乱した。

(クラースさんのお家ね。 でも、カリヌ様なんて方は、私知らないわ)

サラがホーリーから聞いたのは、あくまで彼が死神として一人で住んでいた冥界での話だった。

……ただの空想とも思えず、心が温まるが儚くも悲しい内容だった。

ひと言で言い表せない気持ちだったが、何となくサラが腑に落ちる所もある。
生まれた時から一人きりでいたにしては、ホーリーとは人の感情や心の動きに敏感過ぎる。

カリヌのことを忘れていても、彼の存在は確実にホーリーの一部を作っているようにサラには思えた。
二人は話し方も似ている。
誰が何のためにあんな夢をみせたれたのかは分からない。
『だから彼は大丈夫なんだよ』 とでも神様が彼女に教えてくれようとしたのだろうか。

それが真実にしろそうでないにしろ。

元々サラの中に強くある自己犠牲の精神────それを体現したカリヌの生涯は、彼女の心理に少なからず影響を与えることとなる。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ