マッチ売りの少女と死神さん
第4章 1月1日…それはかわいい君のせい
今は夕方近く、午後を大きく過ぎた辺り。
窓から差しつつある西日にホーリーが目を細めた。
『僕の性は君のためのものだから』
そんな自分の言葉にサラは冗談なの、とでも言いたげな呆れ顔をしていたが、その迷言は本気の本気だった。
実際にあれからホーリーは、何時間も彼女を離さなかった。
性交の最中に訳の分からない気持ちに引き摺られそうになり躊躇していたホーリーだったが、パン屋の一件で彼の中の何かが吹っ切れた。
身動きの儘ならないサラを犯し快感に堕とした事実はホーリーの心の内に絶対的な優位性を埋め込ませた。 肉の快感と戸惑いに咽び泣く彼女は昨晩と何ら変わりは無い。 加えてそれを見下ろし事を運ぶことが出来る自分も。
比較の誤認。 あられもなくよがるサラを観察しながらホーリーは、自分は彼女よりはうんと平静を保てていると感じたのだ。
本当のところ彼自身も肉欲に溺れていたのだが。
それはさておき……しかしその間にちょっとしたことがあり、彼としては正当な取引きのつもりである。
さすがに体力的にこたえたのか。
ホーリーは袋を手に取ろうとするサラの、ぎくしゃくした後ろ姿を見ていた。
そうしながら、彼は今朝のパン屋の帰りからのことをあらためて思い返してみる。