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「シャーク×サルベージ」

第3章 「新型機」


シンシアとクラウディアはこれで何度目かの新型機の試運転をこなしていた


新型機は海中専用の耐水圧タイプだ


従来の「マリン・ジェガン」は所詮は宇宙用のモビルスーツの廃パーツを組み合わせた簡易合成な機体で、最低限の気密性が確保されていたに過ぎない


今回の新型機は10年前の海中専用モビルアーマーの設計をリ・アレンジして小型化したものだ


上半身を頭と腕を伸ばし、下半身は海中移動用のジェット推進機構となっている


事前に設計書を確認していたシンシアだが、現物を見て“まぁ、海中用のフリューゲルね”と言葉をもらした


新型機は複座式のコックピット


2名が乗り込んで操縦する


本来はシンシア、クラウディア、マット、ギルの4人でシフトを回す予定だったが、前回の事故によりノヴァが参加していた



本番のサルベージ作業を前に、入念な事前訓練を重ねていた


急潜行


急浮上


前方攻撃


後方魚雷散布



実弾も用いて何度も練度を高めていく


「前のより小回りが効くわ!」


「そぉね、クイックが早いわ」


「それにライフルとサーベルだけじゃなく、散布魚雷もあるし、それに何といっても正面のメガ粒子砲が凄まじいわね!」


ふたりは興奮しながら午前の訓練を終えた


海上のフロートデッキには小柄なパイロットスーツ姿の若い女が待っていた


ノヴァだ


「シンシア、彼女はこのクルーザー試作機のテストパイロットだったらしいわよ
 わたしたちよりこなせていると自負しているみたい」


「そうなの? それで朝のクラウディアにちょっかい出してきたわけ?
 まぁ、負けない自信があるのは当然ね」



「悔しいけど、テクニックに関しては反論は無いわ」


「本番はどうするのかしら?
 ギルと組むのかな?」


「なに言ってんの!一番下手っぴなのはシンシア、アンタよ?
 新人のアンタをサポートするんじゃない?」


「そ、そうなの?
 わたし、バイトだからのんびりやるつもりだったのに!
 あんなバリバリな人がペアになったらタイヘンじゃない?」

シンシアはため息をついた


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