「シャーク×サルベージ」
第3章 「新型機」
シンシアとクラウディアが機体のハッチを開けて搭乗口フロートへ出て来ると、すかさず新参参加のノヴァが迫ってきた
「どう? 調子は」
シンシアは無表情に視線も交わさず、歩みを止める事もなくすり抜けようとする
「こんなもんじゃない?」
クラウディアもシンシアの後ろに続く
「新しいオモチャは良く出来てたわよ」
ふたりはノヴァに冷たい対応をして、その場を離れようとした
それもこれも、午前中のミーティングでノヴァが自意識過剰気味にクラウディアへ突っ掛かってきたからだ
ぞんざいな対応を受けても仕方がない
「シンシア!クラウディア!
アナタたちは何もわかってないのね!
なぜ複座式でパイロットが2人必要なのか
さっきの航行訓練は何なの?
よちよち歩きと同じじゃない」
ノヴァは苛立ちを隠すことなく2人に食ってかかった
シンシアは“ほら、始まった”といわんばかり
クラウディアも“あらあら”といったふうにおどけてフロートの通路をバランス良く進み、格納庫デッキへ飛び移った
デッキの上には同僚パイロットのギルが立っていた
またまだ若い新人のパイロットだ
彼はもとももおとなしい性格てあるが、配属時にベテランパイロットのマットとペアを組んでいたため先輩後輩のような立ち場が確立してしまい、パイロットたちの中ではマスコット扱いされていた
そんなギルなので、女性3人があからさまに揉めているのをハラハラして見ていた
気の強いクラウディア
クールビューティのシンシア
おとなしいギル
そこにトラブルメーカーのノヴァが加わり、パイロットたちは連携どころではなかったのだった