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「シャーク×サルベージ」

第1章 「マリン・ジェガン」


フランス


ブルターニュ地方、キブロン


大西洋に面した沿岸は古くからリゾート地として有名だ



そのような観光客が押し寄せる砂浜から遠く離れた沖合いで巨大なタンカーがサルベージ作業をしていた



海底では2機の作業機がゆっくり航行している


「マリン・ジェガン」


人型のモビルスーツの機体をカスタマイズした海中専用の機体だ


パイロットのマットは苛立っていた



「……くそ、アイツまた来やがったぜ」


ディスプレイ画面には何も映っていないが、レーダーには赤く点滅する“何か”を表示していた



「これじゃいつまで経っても仕事が進まねぇ、
 おい!シンシア!そっちはどうなってる?」



「……焦らないでマット、海底の作業ポットがお仕事を完了するまで攻撃はダメよ
 もうすぐ終わるから」


2機のマリン・ジェガンは海底の作業ポットが引き揚げ作業を補助するために護衛として配備されていた


「……問題は……これから、だよな」



マットは歯ぎしりする


先月から就いた任務だが、事あるごとに作業が中断、失敗していた



それもこれも“アイツ”が現れてからだった



「マット!作業ポットが牽引出来るようになったわ!今から引き揚げるわよッ!」


「あぁ、わかった!早く終わらせてもらおう」



マットのマリン・ジェガンの前に伸びた太いケーブルが先程までのだらりとした状態から、ピン!と張ったようになる


ようやくサルベージ作業が始まった



「頼むぜ……、落とさないでくれよ?」


「マット、アイツのほうはどう?」


「あいかわらず俺たちの周りをグルグル廻ってるぜ?」



マットの機体よりも少し深い場所に配置しているシンシア機からは何も感知していない



「攻撃は最小限によ?マット!
 またこないだみたいにワイヤーまで切らないで!」



「わかってるよ」


ワイヤーの先端に取り付いた作業ポットがマットの機体の目の前で上がっていく


その作業ポットが掴んでいるのは、ボロボロに破壊されたモビルスーツ“ジェガン”だった


「ジーザス! せっかく宇宙から落ちてきても、これじゃあ助からないよな……」


彼らの仕事は宇宙から降下してきたモビルスーツの回収作業だった…


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