「シャーク×サルベージ」
第3章 「新型機」
数分の静寂のなか、ようやく2号機からの連絡が入る
「いま、少し移動したんだけど……
迫ってきていたのは巨大なマッコウクジラだったわ!
こんなところまでまわってくるのね?」
海上の空母からも連絡が入る
「こちらのレーダーも捉えた
刺激するなよ?
体当たりでもされたら粉々だぞ?」
「わかった、もう少し様子をみるわ」
2号機だけでなく、1号機も現状維持を続ける
「……ねぇ、シンシア
マッコウクジラの大好物知ってる?」
「え? なに? わからないわ」
「ダイオウイカよ!」
「え?」
同僚マットの事故を思い出す
海中専用機とは言え、巨大生物にはかなわない
マッコウクジラが居るということは、
ダイオウイカも近くに潜んでいるかもしれない
「でもクジラって……歯が無くてブラシみたいなのでプランクトンを濾して食べてるんじゃないの?」
「シロナガスとかはね、
マッコウクジラは歯があるわよ!
それにマッコウクジラもダイオウイカもどちらも肉食性なの
だから関わらないに越したことないわ」
「そうなのっ??
そんな大きな肉食生物が居るなんて!」
「シンシアは海を知らないかもしれないけど、マッコウクジラは生まれたての赤ちゃんでも4メートルは有るのよ?
成熟すればメスでも10メートル、
オスは20メートルを越えるの」
「そんなに? ギルたち大丈夫かしら?」
「ギルもノヴァも海は長いから無茶な事はしないと思うけど……」
「訓練は中止になりそうね……
こちら側にダイオウイカが居たりしたら、
たまったもんじゃないわ!」
「ホントに…!
マットはサルベージを成功させたから無駄死にじゃなかったけど、わたしたち今なにもしてないからね
イカもクジラも御免だわ!」
結局、皆が訓練に集中出来なくなりそのまま2機は空母に帰還した……