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「シャーク×サルベージ」

第4章 「ハマム」


ナオトたちがサーフィン・レッスンを終えて〈シュルフ・ルソン〉のサーフ・ショップに戻ってきたとき

店の前には警察の車が停まっていた


同じくナオトたちと海に居た店主夫人エイプリルは驚いてサーフボードを投げ出して店へ走っていった


「どうしたんだろ?」


「なぁに? なにか事件?」


ナオトの横を歩いていたミアとサーシャの姉妹も怪訝な顔をしている


レッスン中になにか物騒なことでも起こっていたのか?



練習生は店の前のスタンドにボードを立て、店の裏の更衣室のほうへ回ろうとゾロゾロ歩いていた


ナオトは気になって店の正面のほうをわざわざ通って店内を眺めてみる



特に荒らされたような形跡もないが、中には店主のフィンとエイプリル、そして2人の警察官が話している



とりあえず強盗騒ぎでは無さそうなのでナオトはホッとした



裏手のカフェブースを抜けて、奥のシャワールームへ行く


先にシャワーの音がする


個人の店なのでシャワールームは狭い


シャワーの音は女性更衣室からで、先にミアたちが砂を洗い流しているのだろう


ナオトもロッカーからタオルだけ取り出してシャワーを浴びた


キベロンはフランス北部にあるためか水温はあまり高くない


夏のリゾート地ではあるものの、地中海のような温暖さは無いのだ


また今日は曇り空でもあって肌寒い


ウェットスーツが無ければ海の中には入れないだろう


今日は特に寒い


まだ夏の季節ではあるがもうリゾートの時期は終盤だ


低気圧が大西洋に波をもたらせてくれるので、ブルターニュ地方では季節に関係なくサーフィンは出来る


が、

いい波を得たければ8月の終わりから10月の始めまでがベストだろう


海水浴には向かない時期だが、波乗りにはいい季節になるわけだ


だが、やはり地元でも寒ければ海に入りたがらない

今日のレッスンもナオトと姉妹の3人だけだった


冷たい海に浸かったあとの熱いシャワーは本当に心地よかった


熱いシャワーで満足していると男性用の更衣室のドアが開いた


声の主はエイプリル夫人だ


「ごめん、ナオト! 向こうがいつぱいだから私はこっちを使うわ!」



「え?」


シャワーは2台並んているが、仕切りがあるので互いには見えない


それでも膝から下は夫人の脚が見えた…

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