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「シャーク×サルベージ」

第5章 「メガロドン」


「ダニエル……カーソン……聞こえる?」


ダニエルのコックピットに女性の声の通信が届く


シンシアだ



「シンシア、ダニエルだ

 何かに襲われた!気をつけろ!
 また出てくるかもしれん!」


ダニエルはメインカメラを上の方向、海面に向けるが距離がまだあるためかシンシア機のジェロックの姿は確認できなかった


「ダニエル? かなり予定ポイントから流されてるわ! 海流の弱い場所をさぐって!」


「シンシア? 聞こえてないのか?
 こっちは危険だ! まだ降りてくるなッ!」


「なに? 聞こえないわ!
 カーソンも一緒なの?」


ふたりの通話は噛み合っていなかった


回線が不安定な中、ダニエルは周囲を警戒しながらさらに降下していく


「……くそ、まだ試し潜りの段階だってのに」


ダニエルは文句を言いながら海流の勢いの弱い岩場の影に移動していった


今日はまだ本格的な引き揚げ作業の前の事前調査に過ぎない


対象となる沈んだジェガンの状態や、作業するための機材の配置など周囲のデータをとるための事前調査に過ぎない


ダニエルは念のために岩場にマーカーを打ち込む


次に潜るときの目印になるだろう


さらに降下していく


メインカメラの近くのライトだけでなく背中から伸びたアーム式ライトも点灯させているが、視認できているのはほんの僅かだ


“あのバケモノは何だったのか…?”

“カーソンはどうしているのだろう?”


ダニエルは不安な気持ちのまま周囲を警戒していった


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