「シャーク×サルベージ」
第7章 「ノヴァvsジェム」
「ここまでのようね、ノヴァ?」
「………」
聞こえていたがノヴァのプライドが敗北を許さない
「ここでトドメを刺してあげても良し、
貴女が懇願すれば助けてあげても良し、
どうする? フフフ……」
「誰がお前なんかにッッ!!」
ジェムの一号機がさらに接近、埋もれた二号機の腕に軽く触れる
〈接触回線〉が繋がり、通信がクリアになる
と、同時にディスプレイに互いの顔が映る
“シンシアが居ない……、本当に独りで操縦していたんだな…、
手に掛けたか、どこかで放り出したか?”
そこへジェムの低い邪悪な声が入ってくる
「さようなら、ベテランパイロットさん!」
一号機がトドメを刺そうとした瞬間、
ビリビリビリビリビリビリビリビリッッ!!
ノヴァは機体の表面に高エネルギーを放出させた
〈電磁スキン〉
「ぎゃあああッッ!!??」
操縦桿を握っていた両手が黒く焦げる!
計器もショートした!
一号機はシステムダウン、機体の制御が不可能となり転がるように強い海流に飲み込まれていった
「油断したな、研究員!
そのまま海底深く落ちていけッ!」
今の〈電磁スキン〉のおかげで挟んでいた岩場がズレてくれた
何とか脱出できるようだ
二号機はふわりと機体を浮かばせる
モーターも正常だ
ノヴァはゆっくり機体を上昇させながら、各種の計器を点検していく
“危なかった! アイツの攻撃もだけど重たい岩にフレームが歪んでいたら機体の装甲が水圧に耐えられなかったかも…”
数分後、二号機は海上まで浮上できた
コックピットハッチを開けて、新鮮な空気を吸い込む
潮の香り、波の音
「手持ちの武器はもう無いわね、空母へ戻らないと……
ただ…、巨大サメの行方が気になるわね…
それにしてもシンシアはどこへ行ってしまったのかしら?」
ハッチの端に座り込んでしまったノヴァは深い溜息をついて、全身の脱力を感じていた……