
緋色の罠
第1章 緋の華
庭の入口付近にあるローズアーチの横。一本だけすっと伸びた茎の先に、いくつかの蕾が付いている。それがヒガンバナと分かったのは、ほころび始めた蕾に緋い色が見えたからだ。
ヒガンバナの球根など植えた覚えはない。それにわたしはこの植物があまり好きではなかった。
夏の終わりに、いきなり地面からつるんとした茎だけ伸びて、群がった大きな蜘蛛を思わせるグロテスクな花を咲かせる。その花の色も唐突な緋色で、周囲から浮いた毒々しさしか感じない。
ヒガンバナの染色体は3倍体だという。だから花が咲いても種はできないと何かの本で読んだことがある。だから、どこからか種子が飛んできて、ということはヒガンバナに関してはありえない。
だとしたら、植えてもいないのにどうして生えてくるのだろうか。
そういえば、こんな所に誰も植えないだろうという場所で、ヒガンバナがポツンと咲いているのを見かけることがある。
なぜだろう。あの毒々しい緋色が嫌いだから余計に目に入るのかもしれないけれど。
勝手に庭に生えてきたヒガンバナは、触るのが嫌だったので抜かずに放置することにした。一本しかないので邪魔になる訳でもない。
球根にアルカロイドという毒があるらしいが、間違っても触ったり口にしたりしないので放置しても何ら問題はなかった。
ヒガンバナの球根など植えた覚えはない。それにわたしはこの植物があまり好きではなかった。
夏の終わりに、いきなり地面からつるんとした茎だけ伸びて、群がった大きな蜘蛛を思わせるグロテスクな花を咲かせる。その花の色も唐突な緋色で、周囲から浮いた毒々しさしか感じない。
ヒガンバナの染色体は3倍体だという。だから花が咲いても種はできないと何かの本で読んだことがある。だから、どこからか種子が飛んできて、ということはヒガンバナに関してはありえない。
だとしたら、植えてもいないのにどうして生えてくるのだろうか。
そういえば、こんな所に誰も植えないだろうという場所で、ヒガンバナがポツンと咲いているのを見かけることがある。
なぜだろう。あの毒々しい緋色が嫌いだから余計に目に入るのかもしれないけれど。
勝手に庭に生えてきたヒガンバナは、触るのが嫌だったので抜かずに放置することにした。一本しかないので邪魔になる訳でもない。
球根にアルカロイドという毒があるらしいが、間違っても触ったり口にしたりしないので放置しても何ら問題はなかった。
