
緋色の罠
第1章 緋の華
「ヒガンバナなんて去年は咲いていなかったですよね」
「ええ。今年いきなり生えてきたんです。植えてもいないのに」
庭の手入れをしていたら、明るい声で、こんにちはと挨拶された。声の主は木島さんという、近所にお住まいの30代半ばぐらいの男性だ。
木島さんのお宅は、わたしと同じぐらいの年齢に見える奥さまと、就学前の小さな女の子の三人家族だ。かわいらしい感じの奥さまと顔を合わせた時に、お子さんは今年四歳になると聞いた。
「わたし、ヒガンバナが好きじゃないんです」
「僕もです。なんというか、色が毒々しい感じがして」
「ああ!同じだわ。わたしも色がちょっと」
「アハハ、気が合いますね」
「えっ」
顔が赤くなってしまったのを悟られないよう、彼の整った顔から眼を逸らして、わたしはさりげなく横を向いた。
「ええ。今年いきなり生えてきたんです。植えてもいないのに」
庭の手入れをしていたら、明るい声で、こんにちはと挨拶された。声の主は木島さんという、近所にお住まいの30代半ばぐらいの男性だ。
木島さんのお宅は、わたしと同じぐらいの年齢に見える奥さまと、就学前の小さな女の子の三人家族だ。かわいらしい感じの奥さまと顔を合わせた時に、お子さんは今年四歳になると聞いた。
「わたし、ヒガンバナが好きじゃないんです」
「僕もです。なんというか、色が毒々しい感じがして」
「ああ!同じだわ。わたしも色がちょっと」
「アハハ、気が合いますね」
「えっ」
顔が赤くなってしまったのを悟られないよう、彼の整った顔から眼を逸らして、わたしはさりげなく横を向いた。
