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おとなの女性の為のえっちな恋愛カタログ

第5章 カタログ NO 4 とあるカップルの週末

まさか こんな目と鼻の先の距離だとは

外観はマンションみたいな感じで
至って普通のラブホテルだけど

中に入ってタッチパネルを見ると
お目当ての貝殻の部屋のライトは消えていて

石黒がそっちではなくて
スタッフが常駐してるフロントに向かって

予約した旨を伝えると

「奥のエレベーターで9階へどうぞ」

そうラブホのスタッフに言われて
チカチカとライトの点滅する
エレベーターに乗り込んで

9階を目指す

「ねぇねぇ、石黒さんは
あの部屋、使った事ないの?」

行ってないと 俺がさっき言ったのに
信用できないのかよコイツは…

普通は過去の付き合った女と
このラブホテル使ってたとかなんて
あんまり言ったりしねぇと思うんだがなぁ

その辺りの感覚も 明け透けと言うか
オープン過ぎる程に
ゆりかは普通にそれを聞いて来て

本人には切実な問題の様だが

「ある訳ねぇだろ?こんな部屋。
特別な日やら、埋め合わせとかって言うなら
考えねぇ事もねぇけどもよ。
そうでもねぇと…来ねぇよ…んな部屋」

それにこのお部屋は
メゾネットのコンセプトルームだから
週末なら休憩でも
安いタイプの部屋の宿泊ぐらいは
平気で取って来るだろうし…

「え?でも、何でもない日…だよ?」

何でもない日に
そんな部屋には行かないと

目の前の石黒は言っておいて

現に今は その何でもない日に

こんな部屋に来て居るのだが

「んなこったぁ、あれだ…
お前のその頭で考えろ。馬鹿タレが…。
俺は、何も言わねぇかんな」

特別な日にしか
こんな部屋には来ないと言う彼が

なんでもない平凡な日に
こんな部屋に来ている理由…

今日と言う日に 意味が無いのなら

意味を持つ…場所が違うって言う事で


そう言ったきり 石黒は
そっぽを向いてしまって
こっちと目を合わそうとしないから

自分の1歩前を歩いていた
石黒の服をゆりかがぎゅっと
握ってクイクイッと引っ張る

「特別?」

「………」

答え合わせを求めたが
石黒からの返事は無くて



「…さぁなぁ?」

そう遅れて返事が返って来て

「私が、行きたいって言ったからとか?
だったりとか、したりとか、しますか?」

「…さぁなぁ?どうだろうな?」

そう今度は石黒が答えを濁して
しらばっくれる様なそんな言い方をして来る

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