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おとなの女性の為のえっちな恋愛カタログ
第11章 カタログ NO 9 ユガミノクニ
ユガミノクニ
このドアの向こうのその国は
今は 閉ざされた国
ユガミノクニ
このドアの向こう側にあるのは?
「なぁ獅堂、言って置くが…
今からお前が、あの椅子に座る方な」
「じゃあ、行って来いよ?獅堂」
総一郎の左の耳からは宇梶が
右の耳からは石黒がそれぞれに
総一郎に対して囁きかけて来て
ポケットに入れていた鍵を鍵穴に入れて
ガチャと回した
ドアノブを回してギィっとドアを開いた
その部屋の中央には
赤い椅子が一脚
そして その椅子の上に座っている
女がひとり
ユガミノクニ
今まで この部屋に 残ったままだった
女は誰一人として居なかったし
どの女も この部屋から出て来る頃には
顔をぐちゃぐちゃにして泣いてたから
赤い椅子の上に座っているその女は
間違いなく
この赤い椅子しかない部屋の
支配者だった
ユガミノクニ
例えばそれは この赤い椅子だけの部屋
そしてこの小さな国の支配者が
俺に向かって手招きして来て
妖艶な笑みを…浮かべながら
どうしてなんだ?
どうして…笑ってるんだ?
作り笑いなんかじゃない
なら どうして?
「獅堂、顔、青いぞ?大丈夫か?」
そう宇梶が左から
「なぁに、心配要らねぇよ、獅堂。
お前は酷い男だが。アイツは
お前みたいに酷い女じゃねぇよ」
そう石黒が右から
それぞれに囁いて来て
ゾクゾクと背筋に寒気が走って行くのを感じた
「足、止まってるよ?総一郎さん」
自分が朝に沙夜に
この部屋に入る様に
促した様にして
沙夜が部屋に入る様に促して来る
グイっと後ろから宇梶と
石黒が総一郎の肩を掴んで来て
「行って来いよ、獅堂」
「じゃあ、な」
そのまま後ろから肩を掴まれて
反対の手で2人に背中を押されて
その赤い椅子の部屋に押し込まれる
2人は部屋のドアからこっちへは来ない
ドアからこっちへは
俺と彼女だけだとでも言いたげに
現実の世界から
俺を見ていたんだ
「沙夜。コレ、使え」
石黒が持って来て居た
紙袋に入ったある物を
沙夜を呼び寄せて手渡して来て
カサッと沙夜がその中身を
紙袋の隙間から覗くと
「使わせて貰いますね、コレ」
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