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お人好しは何かと巻き込まれる

第22章 小さな呼び声

言い終わると同時にルシアリアの体に
グルグルと細い糸が巻き付き
抵抗する間もなく瞬時に縛られた。

そしてタランチュラが指先をクイッと
持ち上げるだけでタランチュラのいる
木の上まで一瞬で体が引き上げられてしまった。

「ルシアリア!…タランチュラ!その子を
どうするのです!離しなさい!」

エスカテーラーは果敢に問い詰めるが
タランチュラはルシアリアを脇に抱え
ほくそ笑む。

「そりゃあ、実験に必要な材料集めに
決まってるだろうが。
おまえらには、もう用はねぇよ。あばよ」

そう言い残しルシアリアを連れ去ってしまった。

縛られて抵抗も出来ずに連れてこられたのは
森の奥深くにある大樹の木の上だった。

緑の葉っぱが生い茂り回りの目から
隠しているような所に根城を作っていた。

ルシアリアはグルグルに巻かれた糸を
取られ大きな蜘蛛の巣にくっつけられた。

糸がネバネバして接着力が強くて動けず
蜘蛛の巣に捕まった蝶の気分を実体験で
味わうことになるとは思わなかった。

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