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お人好しは何かと巻き込まれる

第28章 隠し部屋

女性に回復を掛けたところまでは覚えている。

しかしルシアリアが気付いた時には
石造りの狭く薄暗い部屋にいた。

女性の姿もない。

柔らかく寝心地の良いマットだったのに
今は硬いマットの上に寝ていた。

起き上がろうとして手足が思うように
動かせずジャラと鎖の音がした。

見上げて手首を見ると革のベルトと鎖で
繋がれている状態だ。

首を巡らせ部屋を見ると鞭やナイフなど
拷問部屋かと思われる部屋である。

増々、混乱していると足音が聞こえてきた。

「おや、もう目が覚めたのかい?」

ルシアリアのそばに来たのは第1王子の
ルークビルクだった。

「治癒魔法の使い手は本当に回復が早いんだね。
先程殴られた傷ももうないじゃないか。
これは見込みがあるねぇ」

「…殴られた?」

「そう殴られて意識をなくしたから
覚えてないかな?
ここに連れて来たかったから
ちょっと手荒な事をしたよ。
ごめんね?
でも、もう治ったからいいか」


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