はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第9章 『茂木純二と真奈美』
茂木のおじさんがくれたのは、
フリフリのフリルが付いた
スカートの所にチュールが重ねてある
お姫様が着そうな
ドレスみたいなワンピースで。
『おじさんっ、これっ…
凄いっ可愛い、お姫様の
ワンピースッ貰って良いの?』
『ああ…、お前
いつも同じ服だろ…、真奈美。
しまむら…で、800円だったからな…
セール品のセール品だ。まぁレジで
値札は流石に切って貰ったがな…』
『着て来るッ』
『おー、着て来い』
公園の横にある、共用トイレで
真奈美が茂木のおじさんに貰った
ワンピースに着替えて。
クルクルと目の前で
回って見せつけて来るから。
やっぱり…5歳のがきんちょでも…
一端に女なんだなと…
そんな事を思いながら純二は眺めていて。
『似合う?可愛い?
真奈美、お姫様みたい?』
『ああ、似合う似合う。似合ってるぞ』
『ねぇ、茂木のおじさん』
『あ、何だ?真奈美』
『おじさんも…真奈美の、
お母さんのおっぱい
赤ちゃんみたいに吸ったりするの?
赤ちゃん…どこに行っちゃったのかな?
赤ちゃんだから、ひとりで
どこか行けないはずなのに…。
真奈美の弟…居なくなっちゃた…ッ。
お母さんに…聞いても…、
知らないって言うし…』
『なぁ、真奈美…、
アパートに来てたおじさん達居るだろ?
来なくなったおじさん、居ないか?』