はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第9章 『茂木純二と真奈美』
私には…家は無い…、
あの幼少期を過ごしていた
ボロボロの市営住宅は老朽化で
耐震性が不十分だからと6年前に取り壊されて。
今はあの市営住宅があった場所には
凄い綺麗なアパートが出来ているし。
あの…お母さんがお仕事をしてるのを
待っていた小さな公園も綺麗に整備されて、
別の公園みたいになっていて
綺麗に人工芝が敷かれている。
お母さんが…妊娠して、
生まれて来た赤ちゃんは…
産まれてから数か月したら
また居なくなっちゃった。
あのおじさんが…
赤ちゃんを引き取ったんだと言って居た。
私が…小学生になって…
お母さんが再婚するから、
真奈美のお父さんが出来るよって
あのボロボロの市営住宅から出られるよと言って
ウキウキで荷物を用意していた。
茂木のおじさん…は…、
お父さんじゃないのって
聞きたい気持ちもあったけど。
お母さんが
嬉しそうにしてたから、聞かなかった。
お母さんは…再婚する人の赤ちゃんが
お腹の中に居るんだよって話をしていた。
お腹の中の赤ちゃんは…
5ヶ月で流産したらしくて。
お母さんと私は、
その人の家を追い出されてしまった。