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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。

第32章  『旧レイン邸宅にて』



「すいません、うちの妻が皆様に
ご迷惑をおかけしましたこと。
夫として…代わりにお詫びします…。
ここから先は……うちの…家の…
話になりますので…。お二人はここで」

森園の手首を掴んだままで
空いている方の手で
ガシッと森園の後頭部を掴むと。

伊藤が前嶋と小林の2人に向けて
森園の頭を強引に力づくで
下げさせて腰を90度に曲げさせる。

伊藤の言葉に前嶋と小林の2人は
お互いの顔を見合わせて
それから僕の方を見て何も言わずに
小さく頭を下げると。
自分達が居るべき場所である
バンケットルームへと戻って行った。

その2人が見えなくなるまで
伊藤雄介は森園の頭を下げさせていて。

森園は伊藤の腕を振りほどこうとしているが
じたばたともがいているだけで
伊藤の力には敵わなかった様だ。

2人が戻ると、ドアの前には
伊藤と森園と僕の3人だけになる。

「美海………1つ…聞いていいか。
あの…生田とか言う名前の男が
俺と別れて自分と結婚してくれって
言って来たら…お前はどうしてた?」

ドアの奥には遊亀正樹の妻である
遊亀美月が森園を待って居るので
夫婦での会話をするのは、
今が最後のチャンスだと思ったのか
そう伊藤が森園に疑問を投げかけた。



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