はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第32章 『旧レイン邸宅にて』
「ゆっ、ゆーすけ。何言ってるの?
私はゆーすけの奥さんでしょ?
生田クンが私にどう言ったって
私はゆーすけと結婚してるんだもん
そんな事…するわけ…ッ…ないじゃない」
私を信じてよと言うような
そんな悲劇のヒロインの様な
口ぶりで森園は伊藤の言葉に
手のひらを返したような返事をした。
今までの経緯を全て知っている
僕からすれば、実に滑稽な
名演技を見せつけられている気分だ。
まぁ…今までの揉め事も…
この顔で瞳を涙で潤ませて
男の顔を上目遣いで見つめて
ごめんなさいして許して貰って
ここまで生きて来た女の…、
名演技は流石に板に付いていたが
慣れ過ぎて…引っ付きすぎてるぐらいで
僕は噴き出してしまいそうに
ちょっとなってしまってそれを我慢した。
「クリスマスは…遊亀って男と
会う約束してた…らしいな…?
わざわざ下着も買いに行ったんだろ?
それに陽斗は……その男の子供だったんだしな」
ガシッと…森園のドレスの胸元を
伊藤が掴むと…そのまま
森園の身体を持ち上げる勢いで
引き揚げながら森園の顔に
自分の顔を近づけて行く。
「きゃぁ!やっ…何するの?
ゆーすけっ、やめてよっ…!
そんなに強く引っ張ったら
ドレスのチュールが破れちゃうッ」
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