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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。

第32章  『旧レイン邸宅にて』



部屋の中は……スタッフの人が
会議室的に使っている部屋の様で
異人館の雰囲気とは似合わない
会議室にあるテーブルと
椅子が6脚並んでいて。
壁側にはホワイトボードがある。

テーブルを挟んで向こう側に
3つ並んでいる椅子の中央に
静かに遊亀美月が座っていて。

静かに…その顔を上げると
じっと真っすぐに森園美海の顔を
遊亀美月の瞳が捉えていた。

遊亀美月の視線が……森園の顔から
ゆっくりと頭の先……に移動して、
それから…森園美海の身体を
上から下まで値踏みするような視線を
向けている…のが…森園の隣に居る
僕の目にも…わかるぐらいで。

「貴女が…森園美海……さん。
いいえ…伊藤美海さん…ですね?
ずっと…この数か月…貴女にこうして
お出会いできる日を…楽しみにして
おりました。初めまして、私は
遊亀正樹の妻の遊亀美月と申します。
今…私がなぜ…この場に居るのか…
私の口から貴女に説明は必要でしょうか?」

そう…森園美海の目を真っすぐに
見据えたまま遊亀美月は
言葉のリズムを…乱すこともなく
その言葉を決して荒げることもなく…。

淡々とまるでテキストを読み上げる
音声ソフトか何かの様に、言ったと
言うよりは用意してたセリフを読み上げた。



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