はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第32章 『旧レイン邸宅にて』
きっと…遊亀美月は…今日を…
この日の…この時間を……何度も
何度も…自分の中でイメージして
繰り返して…このシーンを…
頭の中でイメージトレーニングして…
今日と言う日を…迎えたのだろう…なと
仁は…その遊亀美月から掛けた
言葉の乱れのなさから悟った。
女は強し…、いや…母は強し…だな。
まだ幼い…1歳にも満たない乳児が
居ながら…生田港斗を落とそうとして
ここにほいほいと餌に釣られて
やって来た森園美海と。
今は…3人目のお子さんを妊娠中の
身重の身体でありながらに…
夫である遊亀正樹との離婚を
自身と遊亀正樹との間の2人の子供と
これから生まれて来る3人目の
子供の為に決意した…
遊亀美月とは…天と地との差がある。
女である事を選んだ森園美海と
母である事を選んだ遊亀美月。
そして……、その相反する生き方を
今選ぼうとしている2人の女性を
今日のこの場に引き合わせたのは…
遊亀美月の夫であり、そして
森園美海の子供である
伊藤陽斗の本当の父親である
遊亀正樹の存在でしかない。
一番会いたくない相手と…
自ら出会う事を決意して
今日のこの場に…来たのだから。
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