いとせめて 恋しきときは むばたまの 夜の衣を 返してぞ着る
第6章 ふたりの想い…
紅は小さな桐箱の蓋を開けた…
中身には藍色の、つげ櫛に…
"紅"と刻まれていた…
紅「藍…これって…」
藍「まぁ…覚えてないと思うけど…
あの時の約束だから…要らないなら…」
紅「要るッ!!約束も覚えてるッ!!
嬉しいッ!!凄く嬉しい…大切にするね…」
紅は藍に抱きつき…
この温もりを感じながら…
藍「えっ…あぁ…」
藍も、それに応えるように…
優しく…抱きしめた…
藍(紅…少し…痩せたかな…)
紅「あっ…そういえば…おいらも…
ちょっと…初めて編んだから…
上手く出来なかったけど…」
紅も浴衣の袖から紅色の組紐を…渡した…
藍「本当…お前って、どんくさい上に
不器用だな…」
紅「えっ…折角…編んだのに…」
しょんぼりする紅…
藍「だけど…紅の初めてを貰った気分だよ」
紅「えっ…うん…」