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いとせめて 恋しきときは むばたまの 夜の衣を 返してぞ着る

第6章 ふたりの想い…


おそらく…この感じだと…そろそろ…
水揚げされる頃だろう…

お互いに口には出さないが…なんだろう…
今まで、ずっと過ごしてきたせいか…

何も言わずとも…何を考えているか…
解るようになってきた…


特に…悪い予感ほど…よく当たる…


先に口を開いたのは…

藍「紅……これからは…もっと耐えろ……
準備に時間がかかる…でも必ず……
迎えに行くから…その…
つげ櫛を俺だと思って…耐えてくれ…」

紅「うん…信じてる…その組紐も…
おいらだと思って…くれるんだよね…?」

藍「あぁ…当たり前だろ…」


藍は優しく紅の髪に触れ…
優しく微笑んだ…


藍「仲が悪い振りをするのも大変だなぁ…」

紅「そうだねぇ…縁側で擦れ違う度に
胸が締め付けられるよ…あっ…
締め付けられるでありんす…」

藍「何だよ…急に…」

紅「えへへ…練習でありんすよッ」

藍「俺は自分を曲げねぇ」

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