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いとせめて 恋しきときは むばたまの 夜の衣を 返してぞ着る

第10章 紅掛の想い…


紅掛は、ふと…
窓の外からの葉煙草の匂いに
気が付いた…

身体を引きずり…窓の外を除くと…

愛する貴方様が…
屋根の上で煙管を吹かしていた…

紅掛は…泪で愛する貴方様の姿が
ボヤけた…


藍影は紅掛の視線に気付き…
近寄り…紅掛の泪を指で拭う…

藍影「お前は本当に泣き虫だな…」

紅掛「お前って…言わないでよ…
ちゃんと名前で呼んで…」

藍影「それは…無理だ…」

紅掛「何でだよぅ…」

しょんぼりする紅掛…

藍影「俺の心を掻き乱さないでくれ…
理性を失っちまう…」

藍影は紅掛の髪を優しく撫でた…

紅掛「じゃあ…いつ…
呼んでくれるのさ?」

藍影「俺が…お前を迎えに来た時に…
お前の名を呼んでやるよ…」

紅掛「約束だよ…」

藍影「あぁ…約束だ…」

紅掛と藍影は小指を絡め…
大人の約束をした…

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