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いとせめて 恋しきときは むばたまの 夜の衣を 返してぞ着る

第11章 幾月が経ち…


幾月が経ち…

身請け話が先に決まったのは…

紅掛の方だった…

藍影は、その話を耳にして…

煙管を吹かしていた…が…
その煙管を…へし折っていた…


紅掛は控えめで器量が良い…



藍影「そろそろだな…
頼…少し早まるかもしれない…」

頼「分かりました…」

藍影「文は…
武と薬に伝えてくれるか?」

文「はい…」

藍影「今夜…この江戸の吉原を出る…
客の酒に眠り薬を多めに入れておけ…」

頼「分かりました…」



夕暮れ刻…江戸の吉原は日中とは違い…
大人の世界へとガラリと変わりゆく…

それは…花魁とて同じ…

何時ものように…紅掛と藍影は
客と酒を酌み交わす…

ただ何時もと違うのは…
薬の調合した…
客の酒に眠り薬が多めに入っていた事…

ただそれだけだった…

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