いとせめて 恋しきときは むばたまの 夜の衣を 返してぞ着る
第12章 二人だけの刻…
藍「紅…?大丈夫…?
少し…無理させちゃったかな?」
紅「大丈夫だよ…それより…
本当に…ごめん…」
紅は泣いていた…
藍「本当に…紅は泣き虫だな…
気にするなよ…
俺は…紅の毒で感染して本望だよ…」
藍は…紅を優しく抱き締めた…
紅も、それに応えるように
藍の胸に顔を寄せ…
紅「おいら…夢があったんだ…
本当は花魁じゃなくて太夫に…
なりたかったんだ…」
藍「太夫…って舞いの事?」
紅「まぁ…そんな感じかな?
おいら身体も弱いし…
稽古も耐えられないし…」
藍「ははっ…それに、
紅は、どんくさいもんな…」
紅「ちょ、ちょっと…
まぁ…そうだけど…」
しょんぼりする紅…
藍「諦めるのは…まだ早いよ…
生まれ変わったら…
俺に舞を見せてくれよ…」
紅「えっ…?」