いとせめて 恋しきときは むばたまの 夜の衣を 返してぞ着る
第12章 二人だけの刻…
それから一晩のうちに…
藍と紅は…何度も身体を重ね…
愛し合った…
藍「紅…寝るなっ…
そのまま…逝っちまうぞ…」
紅「藍も…寝ないで…
一緒に逝って…」
口づけを交わし…
身体を重ねたまま…
ふたりは同時に果ててしまい…
逝ってしまった…
享年17歳の若さで…
翌日…偶然、通りかかった
空き家の土地の持ち主に、
その亡骸は発見された…
その姿は美しく…
肌は蒼白く…妖艶…
愛し合った後のまま…
繋がれていた…
身元は…すぐに判明した…
その噂は…
瞬く間に江戸の吉原…
玉楼にも伝わり…
恥さらしと批判もされたが…
それと同時に…
駆け落ちまでして愛し合い…
永遠の愛を貫き通した、
ふたりの功績を称え…
その当時にしては
珍しい立派な墓石が…
空と山と海が一望できる場所に
《紅之墓・藍之墓》
建てられた…