いつか、絶望の底から救い出して…
第6章 Mの正体
『ねぇ、君、真奈加ちゃんだよね?ちょっと聞きたいことがあるんだけど』
電話越しでもわかる、嫌味たらしい口調の男の声。
アタシはこの男を知っている。
忘れたくても忘れられないほどに覚えている。
「アンタは……!」
思わず大きな声で叫びそうになるも、何とか堪えて冷静さを保つ。
『嘉齊家本家の者なんだけど?君さぁ?いい加減朔郎おじさんの実家に帰って来なよ?』
「……うるさい」
『まぁ、どうでもいいけどね。ただ一つだけ忠告しておくよ?』
男はそこで一度言葉を区切ると、こう言った。
『もうすぐ君は後悔するかもしれないからね。それだけだよ』
そう言って男は一方的に電話を切った。
なんだよアイツ……!誰だよ……!