
いつか、絶望の底から救い出して…
第10章 佐久良舞希①
「すみません!佐久良真虎(まこ)の病室はどこですか!?」
鬼気迫る様子で聞く園田さんに、受付は「さ、308号室です」と驚いた様に言った。
「308号室ですね!分かりました!行こ、舞希君!」
園田さんは俺の手を引っ張ると、近くのエレベーターに乗った。
「大丈夫なのかよ……舞希の父ちゃん……」
エレベーターの中で悠喜が聞いてきた。
その言葉に俺は「わからない」と答える。
今父さんがどんな状況なのか分からない……
最悪の場合、死んでいるかもしれない……
それだけは考えたくなかった。
やがてエレベーターが三階に着いた。
俺たちはドアが開いたと同時に飛び出した。
急いで308号室へと向かう──
しばらくして、父さんが入院している病室が見えてきた。
「父さん!!」
「舞希君のお父さん!!」
「舞希の父ちゃん!!」
俺たちは叫ぶと、勢いよくカーテンを開けた。
