いつか、絶望の底から救い出して…
第5章 一本の電話
『朝早くにすみません嘉齊さん』
電話の主はスタッフである加賀美さんだった。
加賀美さんはアタシを毛嫌いしてるスタッフだ。
そんな人がアタシに電話をかけてくるなんて、何の用だろう?
アタシの中で警戒心が強くなる。
「あ、いえ、加賀美さんこそどうしたのですか? こんな朝早くに……」
『ああ……それがですね、お伝えしたい事がありまして……』
「は、はい……?」
伝えたい事ってなんだろう?
なんか気になるな……
なんて思っていると、加賀美さんの方から伝言を伝えて来た。
『佐久良舞希さんを連れて来ていただけませんか?』
「え? ま、舞希を!?」
アタシは驚きのあまり、声が裏返ってしまった。
え?どうして舞希を?
なんで舞希をアタシの職場に連れていくんだろう?
さっぱりわからない……