いつか、絶望の底から救い出して…
第5章 一本の電話
リビングに入ると、アタシは朝食の支度をしている舞希に声を掛けた。
「おはよう舞希」
「ああ、おはよう真奈加。調子はどうだ?」
「うーんまあまあかな? あ、それより舞希、今日の11時職場に来れる?」
「え……?」
アタシの言葉に、舞希は驚いたように目を見開いた。
そりゃそうだよね? いきなり職場来れる? なんて言われたら誰だって驚くよ……
「いきなりでごめん……さっき加賀美さんから連絡があって……舞希を職場に連れて来いって言われて……」
「そう言われてもな……」
渋る舞希。
いや、そうなるよね?
いきなりこんなこと言われたら……
「でもさ、勝手に11時に予約入れられてるんだよね……」
「え?」
「いや、なんか向こうがさ……11時に来てくださいって……」
「マジか……」
「うん、マジ……」
アタシの言葉に舞希は小さく嘆息すると「わかった」と、渋々了承してくれた。