いつか、絶望の底から救い出して…
第6章 Mの正体
前にアタシは一回、舞希に絵を描いてもらったことがある。
その時は舞希は普通ぐらいの画力だった。
かもなく不可もなくと言ったところだ。
でも本当は違う……
あの時、舞希は明らかに手を抜いていた。
それがつまり何を意味するのかと言うと……
手加減されたと言う事だ──
つまり舞希はあの時、本気でやっていなかったと言う事だ。
その瞬間、アタシの中から怒りが湧き上がって来た。
どうしてあの時手を抜いたりしたの!?
最初から本気を出してくれていれば、ここまで落ち込むことなんてなかった。
最初に俺はMだって言ってくれた方が、ここまで惨めにならなかった……!
ねぇどうして?どうしてなの舞希!
答えてよ……!
どうして騙すような真似したの!!