誰か僕の初めてを奪ってくれ~!!
第10章 放課後…【護】
すると、朕は、何処から出してきたのか
扇子を、ひらり、と回し、優雅に舞い…
弦も、いつの間にか…胡弓を奏でていた…
とても、心地よい音色…
その曲は、切なく、儚い…
だけど希望とも言える不思議な感じだ…
護の目の前に居るのは紛れもない…
朕と弦だが…
長い黒髪に薄紫色の衣を
身に纏う、ふたりの姿…
今にも天にも昇る仙人…
いや…天女のようだった…まるで別人…
護は…
曲が、いつの間にか終わっている事に
気付かず…放心状態だった…
パチンっ、と指を鳴らす音と共に…
護は我に返った…
朕
「護殿よ…?大事ないか…?」
と、朕に優しく声をかけられ…
弦
「おや?泣いてるけど大丈夫~?」
と、弦は心配そうに顔を覗き込む…