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クピードー(Cupido)

第1章 クピードー(Cupido)

 ②

 それから3000年の時が流れ…


 西暦2022年9月…

 僕は、交差点で下校途中にクルマに跳ねられた…

 12歳、小学六年生であった…


「……………ぁ……」

 ここは?…

「あっ、せ、先生、意識が戻りましたっ」
 僕が目を覚ますと、病院のベッドの上であった。

「おお、良かった、奇跡だ、お母さん、もう心配ないですよ」
「あぁ、よかったぁ、じゅ、純、よかったわぁ…」

 目を開くと、おじさん、おばさん、お姉さんが、僕を覗き込みながらそう話している。

 あぁ、ここは?…

 あ、そうか、確か、クルマに跳ねられて…

 あぁ、痛いや…

 カラダが痛い…

「純、本当によかったわぁ…」
 おばさんが泣いている…
 あ、ママか…

「意識さえ戻れば、あとは時間だけ…」
 このおじさんは…
 お医者さんか…

「本当、良かったですね」
 あ、きれいなお姉さんだ…
 そうか、看護師さんか…

 そして僕に再び眠気が…

『よし、復活だ…
 そしてお前に命と、愛を与える…』

 なんか不思議な声が聞こえてきた…

 復活…

 命…

 愛…

 いったいなんなんだ…

「…………………」
 そして僕は夢を見た。

 その夢は、僕が生まれながらの奴隷の子供で、物心ついた頃から理不尽で、過酷な労働を強いられ…

 12歳で…死んだ。

『女も知らずに…』
 これが心に強く残っている無念の想い…

『女も知らずに…』って、なんだ?…




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