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妖艶な麗人

第1章 妖艶な麗人…

 ③

「ほらぁ、やっぱりぃ、変態さんだわぁ…」
 わたしの脚を触りながら囁いてきた。

「え?…」

「だってぇ、わたしとぉ、同じ臭いがするからぁ…」

「お、同じ…臭いって…」
 そう囁きながらも膝から太腿あたりを撫でてくる。

 そしてそんな絶妙なタッチに…

 酔いのせいもあり…
 小さく震え、反応してしまう。

「ほらぁ、この反応…
 この脚の絶妙な感度…
 そして…」

 このストッキング…
 わたしの目をジッと見つめ、脚に触れながら、そう囁いてきた。

「な、何で?…」

 あぁぁ…
 心の中で激しく喘いでしまう。

「えぇ、何でわかるかってぇ?」

 それはわたしもさぁ…

 悠里さんと同じストッキングフェチだからよぉ…
 そう耳元に顔を近づけて囁いてくる。

「えっ、あ?…」

 何でわかるのか?…
 心の中で呟いた。

「それはさぁ…このさぁ…」

 ストッキング脚の美しさと、この薄さ、そして…

 このストッキングを選んで穿いているアナタを見てね…

「え…」

「これってさぁ…
 イタリア製のイビチ(ibici)よねぇ?…
 しかも8デニールの極薄…」

「あ、え、う、うん…」

 正にピッタリ、正解である…

「シロウト女がさぁ、あ、普通の女って意味よ…
 そんな女はさぁ、普通はこんなストッキング穿かないもん…」

「え…」

「これはぁ、脚に特別な想いのある女の証拠なの」

 例えば、脚フェチ、ストッキングフェチの彼氏に愛されているか…

 すっかりその影響に染まってしまった女か…

 自分の脚に魅力を感じて…

 しかも性感帯の一つになっているか…

「そして常に…
 男達の自分に対する脚の、いや、ストッキング脚への目を意識しているか…」

「…………」

 わたしは、まるで、わたし自身の脚への、そしてストッキングに対する自意識のズバリそのものを云われてしまい、言葉を失ってしまう…

 そしてなによりもわたしの脚に触れただけでこのストッキングのメーカーと種類と、この内心の想い、自意識を見抜いたこのユリさんに…
 驚きを隠せないでいた。

 いや、驚きよりも…

 魅力を感じていたのである。

 魅力…

 それはユリさん曰く…

 同じ臭い…

 同じストッキングフェチ…

 そして同じストッキングラブに心が昂ぶってきていたから…


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